重大事故が多い大田区蒲田において交通事故被害者になってしまったら
この記事では、蒲田と大田区の交通事故事情について解説します。
このコラムの目次
1.大田区は交通事故が多い
「蒲田」とは、広い意味では蒲田駅や京急蒲田駅の周辺の蒲田、西蒲田、蒲田本町の北端を中心とした部分を指します。狭い意味では、蒲田一丁目から蒲田五丁目までを指すこともあります。
蒲田駅周辺は東京では有数の繁華街では、JR蒲田駅の東口には「アロマスクエア」、「アプリコ」、西口には「ユザワヤ」、「ドンキホーテ」といった商業施設があります。
繁華街を抜けると東京工科大学、東邦大学などの大学や、東邦大学医療センター大森病院などの医療施設もあります。そのため、人が多く集まり、交通量も多い地域です。
そのため、蒲田がある東京都大田区は、東京23区のなかでも交通事故が多く発生しています。
2.大田区の交通事故事情
(1) 重大事故が多く発生
まず、蒲田がある大田区全体における2016年の交通事故事情をみていきます。
交通事故の発生件数は2007年には3101件だったのが年々減少し、2016年の交通事故発生件数は1,279件でした。
大田区の人口は、2007には685,854人だったのが、2016年には717,295人に増加しています。それにもかかわらず、交通事故の件数は大幅に減少しています。
しかし、東京23区のほかの区と比較すると、交通事故の発生件数と負傷者数は、世田谷区、足立区、練馬区、杉並区に次いで5番目に多い数字で死者数は11名で、23区で最多でした。
大田区では、2007年以降、2014年を除いて全ての年に10名以上の死者が出ています。
このように、大田区では、交通事故の件数自体は減少を続けているものの、重大事故は数多く発生していることがわかります。
【参考】大田区ホームページ「大田区交通安全のあらまし」
(2) 高齢者の事故が多発
11名の死者のうち、70歳以上の高齢者が5名を占め、重傷者数も11名中5名が70歳以上と、高齢者の重大事故が目立つのも特徴です。
大田区の交通事故全体で65歳以上の事故が占める割合は以下のとおりで、高齢者の事故の割合が年々増していることがわかります。
- 平成23年 28.1%
- 平成24年 28.4%
- 平成25年 32.0%
- 平成26年 30.6%
- 平成27年 34.4%
- 平成28年 34.8%
(3) 自転車の事故が多発
さらに、死傷者数を当事者別にみると以下のようになります。
- 自転車 444人
- 普通乗用車 356人
- 歩行者 208人
- 自動二輪車 189人
自転車が関与した事故の割合は35.9%で、大田区では自転車の事故が多いことがわかります。
3.大田区での交通安全対策
2016年に重大事故が多発したことを受けて、大田区では、交通安全推進のためにさまざまな対策を行っています。
(1) 大田区交通安全計画(五箇年計画)
大田区では、2016年から2021年にかけて交通安全対策基本法に基づく交通安全計画(五箇年計画)を行っています。
施策の重点とされているのは以下の5点です。
- 子どもの交通安全の確保
- 高齢者の交通安全の確保
- 自転車の安全利用の推進
- 二輪車事故の防止
- 飲酒運転の根絶
(2) 点検整備
大田区では、自転車や歩行者用のストップマーク、視覚障害者用の誘導ブロック、滑り止め舗装などの設置を進め、歩行者の安全と交通の円滑の運行を確保しています。
さらに、児童の安全を確保するために通学路やスクールゾーンの検討を行い、検討結果によっては通学路を変更するほか、通学路の点検を実施し、施設の補修や道路専有物の撤去など安全な道路を確保するための施策を行っています。
(3) 啓発
大田区では、交通安全の啓蒙活動も盛んに行われています。
2016年には大田区内で交通安全移動教室が91回、高齢者との交通安全集会が30回、区民交通安全教室は595回開催されました。
(4) 交通安全運動
大田区では、交通事故防止の徹底を図ることを目的とした交通安全運動が貼ると夏の年2回実施されています。
2016年に行われた2回の交通安全運動期間中には、交通事故でそれぞれ1人が死亡したものの、交通事故発生件数はそれぞれ23人、24人と例年より極めて少なく、一定の成果がありました。
4.蒲田での交通事故状況
続いて、蒲田警察署の管轄における交通事故の発生状況を2017年と2016年の比較で見ていきます。(参考:蒲田警察署「昨年、一昨年の交通事故発生状況(年間)」)
(1) 発生件数と死傷者数
発生件数
2017年 281件
2016年 322件死傷者数
2017年 307人
2016年 369人
蒲田における発生件数は、2016年から40件以上減少しています。それに伴い、死傷者の数も60名以上減少しています。
交通事故の減少は全国的な傾向で、背景には自動車の安全性能の向上や警察による取り締まりの強化があるとみられています。
(2) 時間帯別の交通事故発生件数
2017年
- 0時から2時 6
- 2時から4時 7
- 4時から6時 10
- 6時から8時 19
- 8時から10時 30
- 10時から12時 38
- 12時から14時 37
- 14時から16時 36
- 16時から18時 46
- 18時から20時 26
- 20時から22時 20
- 22時から24時 6
2016年
- 0時から2時 7
- 2時から4時 5
- 4時から6時 10
- 6時から8時 33
- 8時から10時 38
- 10時から12時 51
- 12時から14時 31
- 14時から16時 40
- 16時から18時 42
- 18時から20時 28
- 20時から22時 26
- 22時から24時 11
蒲田における交通事故の発生件数を時間帯別にみると、2017年は2016年に比べて6時から8時、10時から12時の事故が大きく減少していることがわかります。
一方で、2017年は16時から18時の夕暮れどきに事故が数多く発生しています。この時間帯は周囲が徐々に薄暗くなり、下校や退勤で交通量が増えることから、事故が発生しやすい時間帯です。
(3) 曜日別の交通事故発生件数
2017年
- 月曜 40
- 火曜 42
- 水曜 40
- 木曜 41
- 金曜 49
- 土曜 45
- 日曜 24
2016年
- 月曜 41
- 火曜 48
- 水曜 58
- 木曜 54
- 金曜 46
- 土曜 49
- 日曜 26
曜日別に発生件数をみると、2016年は水曜日と木曜日に事故が多発していたのが、2017年は平日に満遍なく発生していることがわかります。日曜日に事故が大きく減るのは変わらない傾向です。
(4) 年代別の死傷者数
2017年
- 幼稚園 6
- 小学生 15
- 中学生 0
- 未成年 10
- 20歳代 52
- 30歳代 42
- 40歳代 67
- 50歳代 40
- 60歳から64歳 18
- 65歳以上 57
2016年
- 幼稚園 6
- 小学生 13
- 中学生 4
- 未成年 12
- 20歳代 40
- 30歳代 58
- 40歳代 88
- 50歳代 52
- 60歳から64歳 24
- 65歳以上 72
死傷者数を年代別にみると、2017年は30歳から高齢者の交通事故が大きく減少しました。一方で、20代の死傷者数は40件から52件へと増加しています。
20代は免許を取ってからの経験が浅く、漫然運転、脇見運転、動静不注意、安全速度違反が原因の事故が多いのが特徴です。
最近では特に運転中にスマホを見ていたことが事故につながるケースが増えています。
警視庁調査の携帯電話使用等に係る交通事故発生状況によると、2016年中の携帯電話使用等に係る交通事故は1,999件で、5年前と比較すると約1.6倍、スマートフォン等の画面を見たり操作したりして起きた事故は約2.3倍になっています。
(5) 状態別の死傷者数
2017年
- 四輪乗車中 85
- 二輪乗車中 58
- 自転車乗用中 106
- 歩行中 58
- その他 0
2016年
- 四輪乗車中 138
- 二輪乗車中 50
- 自転車乗用中 123
- 歩行中 57
- その他 1
死傷者数を状況別にみると、四輪乗車中の死傷者が2016年には138人だったのが2017年には85名まで減少しています。
近年、四輪車は、安全性能の向上に事故による死傷者数が全国的に減少しており、蒲田においても同様の傾向が見られます。
一方、二輪や自転車は減少が鈍っています。二輪や自転車はバランスを崩して転倒しやすく、体が露出しているため事故が発生したときに怪我をしやすいのが特徴です。
二輪や自転車を運転するときは、四輪車を運転するとき以上に交通ルールの順守と安全運転に努めましょう。
5.交通事故被害者になってしまった弁護士へ相談を
このように、大田区蒲田では交通事故が多く発生しています。十分注意していたとしても、不意に事故に巻き込まれてしまう可能性は誰にでも有り得るのです。
交通事故の被害者になってしまったら、保険会社との複雑なやりとり、怪我の治療、休職中の補償など、悩みや心配事が尽きないでしょう。
交通事故の被害者になってしまったら、お早めに交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。ご相談者様に寄り添い、親身になって事故解決までサポート致します。
大田区、品川区、目黒区、世田谷区、川崎市川崎区、JR京浜東北線・東急線・京浜急行線沿線にお住まい、お勤めの方は、交通事故の解決実績豊富な泉総合法律事務所蒲田支店の無料相談をご利用ください。
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